さき

タクシードライバーのさきのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.0
スコセッシ監督作だと知らなくて、ビジュアルとタイトルから勝手に別の映画『TAXI』と似たような作品なのかと思ってました笑そしたら全然違うし、偶然にも公開中の『JOKER』の予習にもなるらしく…同じタイミングで本当に偶然鑑賞した(後から予習案件だったと知りました)本作、『キングオブコメディ』https://filmarks.com/movies/20292『JOKER』https://filmarks.com/movies/80819 を勝手に”人生が嫌になりそう映画三部作”として関連づけてレビュー書きましたので、良かったらそっちも読んでください。

誰でも、小さい時に「どんな大人になりたい?」「将来の夢は?」っていう質問をたくさん受けてきて、自分の中でも漠然と、こんな風になりたいなとか、こうなってるだろうなっていう理想を持ってると思う。でも、その理想通りの素敵人生を歩める人ってなかなかいなくて、多少の、人それぞれ大なり小なりの妥協をして、それなりに大人になってると思う。でも、”理想の自分”と”本当の自分”に大きな乖離があって、それを受け入れられなくて、そうなったのは自分のせいでは無い、そうさせた社会が悪い、人が悪い…よく無差別殺人を起こす犯人が口にしてる言い訳。こんなこと書いてる私自身も数年前まで何も自分の思った通りにいってなくて、こんな気分になったこともあった。今はある人にあって、前を向けるような素敵な言葉をかけてもらえてそんななことはなくなりましたが。
本作でもまさに主人公がそうで、主人公から放たられる言葉の全てが人のせい、なんで俺を受け入れてくれないんだよ、わかってくれないんだよ、俺を受け入れられないお前はビッチだ…以前の私なら主人公に感情移入して、どんどん孤独になっていく主人公がかわいそうで仕方無いというようになってたかもしれないです。だけど今は違う。負の思考は負の連鎖しか生まないってわかってるから、彼の考え方は間違ってるし、人や社会のせいにしたところで自分の置かれている状況が良くなる訳では無い。見ていて痛い。

ラスト、壊れに壊れた彼が選んだ行動が結局大それた方はできなくて、そっちに行ったかと思ったし、結果ね…あのラストを経て彼はどうなったのかな。やり場のない怒りはおさまったかな。そうだといいな。

デニーロ、比較的おじいさんになってからの作品にしか触れたことがなかったはずなので、昔から素晴らしい俳優さんなんだと改めて。
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