サトミン

タクシードライバーのサトミンのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.0
独特の映像をを見せてくれる監督、巨匠マーティン・スコセッシ。
作品はあまり観る機会に恵まれていない。
とにかく、大好きなロバート・デ・ニーロが若く鋭利で魅力があふれ出てる。
時折見せる屈託ない笑顔は、天下一品。
最近見た「ジョーカー」に出演したデニーロは太って貫禄があって味があるが、この頃のストイックな雰囲気が良いなあ。
音楽担当バーナードハーマンが奏でるサックスの音色。
とってもジャジーでセンチメンタル。
タクシーの窓からにじんで見える雨のニューヨーク。
帰還兵の労をねぎらうこともせず、戦争を全否定する次期大統領候補。
戦争帰りのトラヴィスにとって、居場所が無く、孤立した寂しい生活。
生きづらい世の中になっていた。
欲望がうずまく夜の喧騒から逃れるように、ポルノ映画館が唯一安らぐ場所。
純粋な気持ちで、気に入った女性に声を掛けるも、普通のデートの方法もわからず、結果フラれる。
そんなことが続き、ますます自分の存在意義が小さくなっていく。
疎外、無力に覆われたトラヴィスは、自分の一番活躍できるイメージを作り上げる。
そして死ぬこともイメージも見出す。
純粋な正義感からか、当時13歳のジョディフォスター演ずる家出少女を救おうとするトラヴィス。
フラれた女性をフリ返したときのデニーロの顔が良い。
この映画、ハッピーエンドですね。
社会への不満や孤独が積み重なっていき、やがて狂気を覚醒させていく男。
そして、性格は、バカがつくほど純粋だ。
トラヴィスはアーサーにとても似てる。
でも、「ジョーカー」より、この映画のほうが好きだ。
グロテスクシーンが無ければ、もっとスコアを高くしたかった。
サトミン

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