みかんぼうや

ロシュフォールの恋人たちのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

ロシュフォールの恋人たち(1966年製作の映画)
3.4
「シェルブールの雨傘」と同じ監督ジャック・ドゥミ×音楽ミシェル・ルグランの黄金コンビによるフレンチミュージカル。とにかくオシャレで、劇伴が全般的にジャズ系なのでジャズ好きとしてはたまりません。

先日観たミュージカル映画「シカゴ」が思いのほか自分に合わず、登場人物やストーリーのせいかと思っていたのですが、本作を観て思ったのは、「シカゴ」は物語そのものよりも、純粋にミュージカルの肝である音楽と踊りが好みではなかったのかもしれません。

本作は、内容的には主役の美人双子姉妹を取り囲む街で出会う男たちとのちょっとしたすれ違いの恋物語。お互いが理想と思う男女たちが同じ街にいて出会えそうでなかなか出会えない、パズルのピースがピタッとハマらないもどかしさにどこか惹きつけられる部分はあるものの、話そのものや登場人物が魅力的で面白いとは思いませんでした。

しかし、兎にも角にもミシェル・ルグランの楽曲がどれも耳に残るキャッチーでワクワクするような秀逸なものばかりで(「シェルブールの雨傘」も同様)、その楽曲に合った街全体を使ったミュージカルの絵面がなんともオシャレで観ていて楽しい。もちろんストーリーもありますが、やはりこの歌と踊りを観るための作品なのかな、と思いました。

話的にもうひと盛り上がりあると個人的にはさらに楽しめた、というのが本音ですが、あくまでもこのオシャレな楽曲と踊りでできあがる世界観を邪魔しない程度の、これくらいのストーリーが、ミュージカル映画として考えると、ちょうど収まりが良いのかもしれませんね。
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