奥行きある完璧な一枚画にローポジションを組み合わせた山中芸術はもはや一級品。今作では笑えるシーンを長回しで捉えるなどカット割りだけに映画のリズムを託してないのも良い。しゃべくりまくる饒舌な脚本だが、それとは別に映像だけで心情を表すなど天才映像作家と呼ばれる演出方法はさすがの一言。
この作品ではショットがフィックスであることにこだわり続ける。同じように小津安二郎もそうするのだが、さらに映像に奥行きがあるのですべてのシーンがエモーショナルに映る。キューブリックやタルコフスキーなど一枚絵にこだわる監督はたくさんいるが、ここまで徹底しているひともそうない。
そのタイトルとかなりのクラシックで、観る人を選ぶだろうが『レオン』が好きな人におすすめしたい。最高傑作は『人情紙風船』と言われているが、ぼくはこれを推す。