ひでやん

ドラゴン危機一発のひでやんのレビュー・感想・評価

ドラゴン危機一発(1971年製作の映画)
3.6
チープな空気を切り裂くシャープな切れ味。

アメリカから香港に凱旋したブルース・リーがゴールデン・ハーベスト社と契約して主演した1作目で、ここからドラゴン伝説が始まったわけだが、今作はストーリーが酷くて安っぽい。ブルース・リーは脇役のはずだったが、急遽脚本をブルース・リー主演に書き換えられ、監督不在の中で助監督が現場を仕切ったり、スポンサーがなかなか付かなかったり、制作危機一髪の中でいい加減に作られた作品。

タイに出稼ぎに来た青年が製氷工場で働き始めるが、そこで工場の秘密を知った仲間たちが殺されて復讐に燃える話。「喧嘩はしない」という母との誓いを守り、前半はアクション封印。ペンダントを握る度に音楽が流れ、まだかまだかと見る側もグッと我慢。堪えきれずに肘打ちと裏拳で2人を倒しちゃう場面や、顔面に一発もらってプルプルと怒りを抑える場面は笑った。

そして爆発。カンフー炸裂。ブルース・リーはいいよなあ。労働者VS工場の中で彼のアクションは別格。とにかく速い。ヌンチャクは使わないが、ナイフや斧を持った敵をバッタバタと蹴散らすアクションは痛快。壁に人型の穴を開ける一撃は愉快。そして、ラスボスがいる屋敷にボリボリとスナック菓子を食べながら登場。決戦前に何食ってんだ?と思ったが、お菓子メーカーがスポンサーになったから食ったらしい。不自然だが、菓子を食うくらいの余裕が感じられて悪くなかった。

酒に呑まれてベッドで目覚める場面は要らないや。あと、登場人物の衣装に対してラストのパトカーが不自然。舞台設定がなんか変。
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