ひでやん

コンフィデンスマンJP 英雄編のひでやんのレビュー・感想・評価

4.0
本当の英雄とはなんだろう。

前作の『プリンセス編』は感動路線だったが、今作は原点回帰で愉快痛快だった。今回も気持ちよく騙してくれてありがとう。

地中海に浮かぶマルタ島の都市ヴァレッタを舞台に、お馴染みの3人が真剣勝負の腕比べ。インターポール捜査官と警察の包囲網をくぐり抜け、狙った獲物をいかにして手にするのか目が離せない。街全体が世界遺産というヴァレッタは、絶景の街並みだった。

幻の古代彫刻「踊るヴィーナス」をめぐって、腹を探り合うコンゲームをそれぞれの視点で展開。勝者は誰か?英雄は誰か?そしてツチノコの正体は?巧妙に仕掛けられた罠を見破ったかと思えば、更にその上をいくどんでん返し。相変わらず古沢良太の脚本は素晴らしい。

底抜けに明るい駄々っ子ダー子、情に弱いボクちゃん、闇の顔を見せるリチャード。変幻自在に出没するメインキャストは今回も最高。日本からやって来た警視庁の丹波は、ルパンを追う銭形のようだ。テーブルに顔を叩きつけられ、最後には約束のアレを投げつけてしまう赤星なんて愛おしいキャラクター。終盤でチラッと出た無口な特殊メイクアーティストは、オイシ過ぎてズルイ。

巻き戻しの種明かしは驚きと笑いと感動だった。騙されたあの人の演技が素晴らしく、見るものに爽快感を与えてくれた。そして感動がふたつ。

ひとつは、ダー子の願い。スキャンダルによって事務所を退社した東出昌大に対し、降板か続投かという不穏な動きが心配だった。なので、「私ね、一生離さないんだ」という台詞や、「足を洗う」と言うボクチャンに「一生逃さんぞ」と言うダー子の台詞は、長澤まさみの言葉でもあるようで、ジンときた。

もうひとつは、ジェシーとスタアがコンフィデンスマンの世界で生き続けていた事。姿はないが、存在を感じてジンときた。

単なる種明かしに留まらず、作品に込められた深い愛を感じたので、思わず2回観てしまった。
ひでやん

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