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セーラー服と機関銃のmitakosamaのレビュー・感想・評価

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)
4.0
何度も見ているが、先日スカパーで見直したので。
ザ・80年代のアイドル映画だし角川の代名詞的作品なので、もはや古典の領域ではある。確かに古いっちゃ古いのだが、色あせない魅力がある事も事実。

アイドル映画なので処女性をもつ性質なのは言うまでも無い。
ただ今作は処女性そのものを謳った作品なんだよね。ある意味アイドル映画のタブーとだったも言えると思うんだ。

薬師丸ひろ子演じる女子高生が弱小ヤクザの組長になるというストーリー。
これは東映などで何百作と作られた任侠映画に終止符を打ったとも言える。80年代を代表する作品ということは、70年代までの作品を過去に追いやったということ。色んな意味でエポックメイキングだったんだよ。

監督の相米慎二の演出方法もあり、ロングショットでの長回しが多用され、役者が自由に演技をする。役者を信頼して任せる手法は北野武と似てると思う。
だから感覚的に演劇を見てる様だ。しかも薬師丸ひろ子がやたら声量があり大声を出す。

処女性そのものがテーマなので、対抗する組の組長に酔わされて犯されそうになったりする。しかも身代わりになる大人の女もいる。

ヘロインの元締め“太っちょ”(三國連太郎)とその娘マユミ(風祭ゆき)
マユミと元恋人だった佐久間(渡瀬恒彦)に対する淡い恋心。

ラストシーン、冬用のセーラー服になり新宿の町を彷徨い、地下鉄の通気口でモンローになる有名な俯瞰の長回し。
あのシーンのみ何故か赤いヒールを履いているのが永らく論争の的になってるが、僕個人としては非処女の象徴なのではと思ってる。死んだ佐久間にキスをした後の、赤い靴の持つエロティシズムは明らかに確信犯だと思う。

アイドル映画の枠内でコレだけのセンスを詰め込んだ相米のセンス。仄かに感じられる薬師丸ひろ子の感受性と相まって至極の名作になり得たのだと思う。時代を象徴した1本。
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