シンタロー

爛(ただれ)のシンタローのレビュー・感想・評価

爛(ただれ)(1962年製作の映画)
3.7
増村保造監督×若尾文子&田宮二郎主演作品。増子がホステスをしていた頃、付き合うようになった浅井には、喘息持ちの柳子という妻がいた。車のセールスマンとして成功している浅井との関係に苦労はなかったが、2号さんの立場で、彼をアパートで待つだけの生活。ある日、2人の関係に気づいた柳子がアパートにねじ込んできた。何かと恩着せがましく、粘着質な柳子にうんざりしていた浅井は、弁護士を立てて離婚。地元に戻った柳子は、浅井への未練から発狂。屋根裏に閉じ込められていた…。
"爛"って、すげータイトル。内容も女達の嫉妬と情念でドロドロ。はっきり言って、この浅井が相当な悪でクズ男なんだけど、女達の恨みの矛先が奴ではなく、相手の女に向かっていく、というのが恐ろしい。前半、まんまと妻の座を手に入れ、柳子を狂わせる増子ですが、因果応報…後半、しっかり我が身に返ってくる構成がおもしろい。「くやしい!」柳子が浅井を執念深く追いかけ回す夜道の場面…「泥棒ネコ!」増子がある人物と取っ組み合いになりながら追いかけ回す場面として蘇ってくる…このキャットファイトはさらに2ラウンド目が用意されていて、まさに修羅場。そんな女達を気狂い呼ばわりする浅井…お前が言うな!ドロドロを盛り上げる音楽もなかなか良いです。
増村作品の美しきミューズとして永く愛された若尾文子。取っ組み合いからのチョークスリーパーすげぇな!ハンサムで筋肉美まぶしい田宮二郎。若い娘の前で風呂上がりにアレはいけません。2人ともオーラがあって、ホント画になります。ただ大映作品の傾向がそうだったので仕方ありませんが、役柄や芝居はちょっと食傷気味。好きですけどね。見事なヤラレっぷりの二代目水谷八重子こと水谷良重、はじけた狂乱芝居の藤原礼子、女優陣がとても頑張ってました。
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