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皆殺しの天使のKSatのレビュー・感想・評価

皆殺しの天使(1962年製作の映画)
4.2
屋敷から出られなくなってしまった晩餐会の参加者たちの狂気を描いた、メキシコ時代のブニュエルの名作。

もちろん、これはブニュエル映画。なので、なぜ出られなくなったのか、その理由は一切説明されない。まさに、不条理映画のお手本のような映画だ。

カメラ位置が絶妙にアオりだったり俯瞰だったり、鶏、羊、熊などやたら動物出す感じとか、ヘイズコードガンガンの隣国・ハリウッドでは当時ちょっと難しかった艶めかしい場面の数々、脈略なく同じようなカットが繰り返される反復表現など、後の「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」にも通じるブニュエル印が大量に見られ、この頃からブニュエルは頭イッてることがわかる。

それにしてもメキシコのブルジョワをイジったつもりなのだろうが、あの服装、豪華すぎてもはや貴族では?

最終的に無理矢理カトリック絡める感じもブニュエル。
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