このレビューはネタバレを含みます
小津安二郎の関西物語
1961年、東宝・宝塚作品。芸術祭参加作品。脚本野田高梧。脚本監督小津安二郎。
日本の四大映画監督の一人、小津安二郎。
ローアングルといわれる低い位置にカメラを据え、日本人の別れや恋模様を表現してきた小津安二郎。
友人達の結婚と家族のふれあいと秋の麦、小津映画ともとりわけ明るい印象の「麦秋」
私の小津映画のマスターピース。それは小津映画の「不倫」。
当時検閲を振り切って描き出した男と女の裏切り愛大好きな一作「早春」
「おはよう、こんちわ、さようなら」小津映画の中の集大成。別名挨拶する映画、家族が死と別れと受け入れ、挨拶を繰り返す物語。一番有名で最高傑作の呼び名が高い「東京物語」
などなど私の好きな作品、私の小津でございます。
そんな小津に久々挑戦。東宝作品で長らくレザーディスク発売でソフト化しなかった本作。次作は「秋刀魚の味」で遺作。
小津の後期カラー作品。カラー作品は、漠然としたイメージは、明るいイメージ。「秋刀魚の味」「秋日和」「お早よう」は、鑑賞済み。
松竹を離れ東宝で撮った作品。とDVD解説。といわれても「何が違うんや?」という感じ。東宝DVDで鑑賞となりました。
イヤーやっぱり素晴らしい。
そして本作とっても変わってます!
小津の全編 関西圏映画
関西弁映画
小津の関西物語 なんですね!こんなノリ初めてです。
関西の方は、全員必見です!
小津映画における関西人は、脇のキャラクターで出演というのが通例です。人が良さそうなおせっかい、冗談好きなキャラクターで主役の友達的な所で出てくるのが今まで。
ですが、今回本作は、京都付近の少しハイソで複雑な小早川家が舞台
とは言ってもテーマは、やはり
結婚と別れ
です。同じ流れ。テーマは、変わりず。変わる口調と関西弁。
素晴らしいのが、なんといっても本作の主役と言っても過言じゃない老人役
中村雁次郎。彼の物語でありまして。いつもなら笠智衆がさのポジションなんです。
が、本作の中村はん。呉服屋のしゃっちょうさん。やりたい放題の家族泣かせ。元気なおじいちゃんであります。そんな小早川の家族物語、関西編。中村さんの
表情が能面のように変わる
「なんじゃい」
必聴!
爆笑の子供とのやりとり必見!
中村さんは小津大映リメイク「浮草」でも活躍されてました。
本作で小津映画最後のミューズ原節子
若きスラッとした美しい恋悩み役の司葉子と鬼若い宝田明
素晴らしい小津仕様の関西家族の物語
冒頭何たって森繁久彌と加東大助の素晴らしいやりとり必見!
そしてラストもみたことないくらい 不吉な小津安二郎テイストでびっくり
冒険したんですね、いつになく暗い印象を引っ張り出したラストの余韻です。
いやあこんなに変わっていて、笑えた関西物語を
遺作前に完璧に撮りあげてた事に 完全にびっくりしました。この完璧な関西のノリは、新しいんですよ。小津映画では、とてもびっくりしました。
「別れ、悲しさ」的な印象よりも「にぎやか、ワイワイ、わがまま」なまるで
「小津なりの関西人」の姿を描きたかったんじゃないのかな?と思いました。
あー素晴らしかったです。お気に入り作品になりました!
さて
小津安二郎が魅せる
関西物語
小早川(こはやがわ)家の人々
ぜひご覧ください!