どーもキューブ

小早川家の秋のどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

小早川家の秋(1961年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

小津安二郎の関西物語


1961年、東宝・宝塚作品。芸術祭参加作品。脚本野田高梧。脚本監督小津安二郎。


日本の四大映画監督の一人、小津安二郎。

ローアングルといわれる低い位置にカメラを据え、日本人の別れや恋模様を表現してきた小津安二郎。

友人達の結婚と家族のふれあいと秋の麦、小津映画ともとりわけ明るい印象の「麦秋」

私の小津映画のマスターピース。それは小津映画の「不倫」。
当時検閲を振り切って描き出した男と女の裏切り愛大好きな一作「早春」

「おはよう、こんちわ、さようなら」小津映画の中の集大成。別名挨拶する映画、家族が死と別れと受け入れ、挨拶を繰り返す物語。一番有名で最高傑作の呼び名が高い「東京物語」

などなど私の好きな作品、私の小津でございます。



そんな小津に久々挑戦。東宝作品で長らくレザーディスク発売でソフト化しなかった本作。次作は「秋刀魚の味」で遺作。

小津の後期カラー作品。カラー作品は、漠然としたイメージは、明るいイメージ。「秋刀魚の味」「秋日和」「お早よう」は、鑑賞済み。

松竹を離れ東宝で撮った作品。とDVD解説。といわれても「何が違うんや?」という感じ。東宝DVDで鑑賞となりました。



イヤーやっぱり素晴らしい。

そして本作とっても変わってます!

小津の全編 関西圏映画

関西弁映画

小津の関西物語 なんですね!こんなノリ初めてです。
関西の方は、全員必見です!

小津映画における関西人は、脇のキャラクターで出演というのが通例です。人が良さそうなおせっかい、冗談好きなキャラクターで主役の友達的な所で出てくるのが今まで。

ですが、今回本作は、京都付近の少しハイソで複雑な小早川家が舞台

とは言ってもテーマは、やはり

結婚と別れ

です。同じ流れ。テーマは、変わりず。変わる口調と関西弁。

素晴らしいのが、なんといっても本作の主役と言っても過言じゃない老人役

中村雁次郎。彼の物語でありまして。いつもなら笠智衆がさのポジションなんです。
が、本作の中村はん。呉服屋のしゃっちょうさん。やりたい放題の家族泣かせ。元気なおじいちゃんであります。そんな小早川の家族物語、関西編。中村さんの

表情が能面のように変わる

「なんじゃい」

必聴!

爆笑の子供とのやりとり必見!
中村さんは小津大映リメイク「浮草」でも活躍されてました。

本作で小津映画最後のミューズ原節子

若きスラッとした美しい恋悩み役の司葉子と鬼若い宝田明

素晴らしい小津仕様の関西家族の物語

冒頭何たって森繁久彌と加東大助の素晴らしいやりとり必見!

そしてラストもみたことないくらい 不吉な小津安二郎テイストでびっくり
冒険したんですね、いつになく暗い印象を引っ張り出したラストの余韻です。

いやあこんなに変わっていて、笑えた関西物語を

遺作前に完璧に撮りあげてた事に 完全にびっくりしました。この完璧な関西のノリは、新しいんですよ。小津映画では、とてもびっくりしました。

「別れ、悲しさ」的な印象よりも「にぎやか、ワイワイ、わがまま」なまるで

「小津なりの関西人」の姿を描きたかったんじゃないのかな?と思いました。

あー素晴らしかったです。お気に入り作品になりました!



さて
小津安二郎が魅せる

関西物語

小早川(こはやがわ)家の人々

ぜひご覧ください!
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