Yoshimasa

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?のYoshimasaのレビュー・感想・評価

4.5
今にもあの夏の匂いが画面から出てきそうな、そんな早すぎた青春物語。

世代じゃなかったとしても、ちょっとくらい映画に詳しい奴もしくはにわか映画オタクなら誰でも知っている本作。93年放送の『If もしも』の一篇として放送され岩井俊二の名を世に知らしめた傑作である。小学6年生の典道と祐介は同じクラスのなずなのことが好き。ある日、掃除時間にさぼってプールで泳いでいるところへなずながやってくる。競争して勝った方と駆け落ちしようと画策していたが、その理由とは…。

まぁこれだけ読んでも何も伝わらないし、そもそもあらすじの書き方が下手くそなのでどうしようもないのだが、これだけはもう本編を見てもらうしかない。セミの鳴き声、子どもたちの汗、プール、花火大会と、夏を連想させるアイテムはいろいろ出てくるが、なんかこう匂いとか暑さとか雰囲気といった、形にはならないけど見る者に夏を感じさせてくれるものがたくさんあるように思えた。

夏という季節にどれだけ思い入れがあるかで見方が変わるとは思うが、とりわけ夏休みという期間で考えると、個人的には「わくわく」と「切なさ」が約1ヶ月のあいだに巨大な波のように押し寄せてきた記憶と経験がある。

この作品でもそう。花火を下から見た時と横から見た時の見え方を調べに行く、クラスの美少女の謎の行動、そして…ここから先はネタバレになるのであまり書けませんが、そういった夏休み独特の匂いがプンプン。

登場人物もほとんどが子ども。子役の演技も絶妙に生意気な感じが出てるし、何と言っても奥菜恵がヤバい。あっこの作品、映画オタクたちが好きになるやつだと確信。そして僕も好きになりました。

実家に帰って懐かしい写真を見てる感じ。久々に地元に帰って同窓会でみんなと飲みながら昔を語る時の感じ。昔好きだった子と久々に連絡取り合ってしばらくやり取りしてる感じ。
なんか見ていてすごく心地のいい作品でした。(まだ見てなかったのかよと怒られても何も言えません…)

※バイプレイヤーズの2人を発見!一瞬ですがいい演技されますね。。
Yoshimasa

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