Yoshimasa

罪の声のYoshimasaのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
4.5
記憶にすら残っていない子供時代に、
もし自分が犯罪に関わっていたとしたら――。

小栗旬&星野源による、日本中を震撼させたグリコ・森永事件がモデルとなった、
戦後最大の劇場型未解決事件を描く。
公開当時は劇場で鑑賞。
アクションやSF作品を見るのは確か久々だったが、
この規模の作品でこんなにも感動したのは久々だった。

昔、グリコ・森永のドキュメンタリー番組を見たことがあったので、
余計にリアルに感じたし、登場人物ひとりひとりのドラマにも
心が締め付けられるほど細部までに丁寧に描かれている。
原作は未読だが、これはオリジナルもとても素晴らしいに違いない。

何と言っても、あの姉弟のストーリーは涙なしには見られない。
宇野祥平の演技には脱帽である。
実行犯、黒幕、依頼をした巨大な何か、翻弄される家族、
不安に陥る国民、時を経て知る者たち…誰にも正義はあるし、
誰にも生きた証がある。
知らないうちに犯罪に加担していたと知った時の人間の心理は想像しようもないが、
どんなに世界から見放されたとしても、
弱き者たちの声を聞いてくれる人というのはどこかにいる。
それだけが真実で、唯一の救いなのかもしれない。
Yoshimasa

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