このレビューはネタバレを含みます
メルギブソン監督、キリストの受難
2011年5月4日 17時25分レビュー
2004年イコンプロ提供、PG-12指定。製作脚本監督メルギブソン。
過度な賛否、上映中止と裏打ちした全米大ヒット。
私財を投げて製作の「マッドマックス」のイケメン
オーストラリアから爆走してきたリーサルウェポンメルギブソン。
今や気難しい匂いすら漂うハードな映画作家になっている印象。
キリスト(スコセッシ「最後の誘惑」、「十戒」ぐらいかな?類似鑑賞作品)
ホラー映画!
「アボカリプト」大好きな自分、東宝DVD鑑賞です。
メルギブソンの力強さというのは、やはり素晴らしいという事。
キリストの最後の時間をひたすら「忠実」に「再現」をピュアに見る人に嫌悪や正視不可能な力強さをもたらすフィルム力が、画面の隅々から伝わります。
私は神社参拝する自分を信仰し、墓石に祈る普通な東洋人ですが、
キリストの情熱の歩行、
痛々しさ、
忠実な言語
悪魔の視線
キリストに関する映画は、幾つも製作されていますが、えてして説話的な言説を描いた作品が多かったんじゃないかと、見ても無いのに思います。
それをメルギブソンは、極力台詞を抑え
受難的行為と最小限の回想と受けた受難的刑罰を
これでもかぁ
というくらいに見せます。
過去いろんなキリストを映画は、表現してきたわけですが、
本作のメルギブ監督は、完全なる宗教観があって、痛み、実録、悲しみをきっちり描いていたように思います。「痛み」が、本作の鍵だと思います。ホラーなみです。
その映像の持つ力はやはり、圧倒的な凄みに息をのんだ形です。
俳優のころのメルギブの面影はなくなり、
「この監督は普段なに考えているんだろうか?」
と余計な思慮が働くほど本作のゆっくりとした痛々しい映像に思いはゆらぎ痛みが生理的嫌悪をともなうほど伝わります。
主役をつとめたジェームズ・カヴィーゼル、大変な役柄を繊細に、痛々しく体言しています。
時に冷静、優しく。時に激痛、悲痛、ぼこぼこひりひりな表情です。
ジェームズさんもキリスト教を信じている背景が真摯な演技に結びついていますね。
イタリアの美貌、モニカベルッチも母性とさりげない華を画面に置いています。
キリストの受難を長くゆっくり表現したメルギブソンの歩き
キリストの最後のあゆみ メルギブソン監督、キリストの最後の受難
覚悟を決めてご覧ください。
追伸
「リーサルウェポン」の微笑みが鬼のように見える。
メルギブソンは、俳優的成功から麻薬に陥ったおり、キリストに救われた経験が本作製作の発端らしいです。
宗教的、いっちゃってるメルギブソンですが、監督として次がみたいと思わせる俳優監督だと改めて思い直しました。
この「パワー」は、必見だと思います。