ムック829

ピアノ・レッスンのムック829のネタバレレビュー・内容・結末

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

娘と一緒に大事なピアノを持ってニュージーランドに嫁いできたエイダ。
夫はピアノをないがしろにして、先住民の土地とピアノを交換してしまう。

先日、家のリビングに35年間鎮座していたピアノを引き取ってもらいまして。
最近は誰も弾いていなかったとはいえ、調律は欠かしておらずわりと綺麗なままのピアノ。いざ手離すとなると一抹の寂しさがありました。
ただこの引き取り作業がなかなかに難航。重量が200kg以上あり、庭から出すだけなのに想像以上に苦労しました。

なんでこんな話をしたかと言うと、エイダはそれほど重量があるピアノを小さな木船に乗せて、海を渡って嫁いでくるんです。
このピアノがエイダにとってどれほど大事な物なのかがよく分かりますね。

しかし夫はピアノに理解を示さず先住民に売り渡してしまう。そしてエイダのピアノ好きを利用して、先住民は不倫を持ちかけます。
エイダはピアノの為の不倫から恋に落ち、挙げ句の果てにピアノの一部を破壊してまで恋文を出す。
ピアノのより不倫相手の方が大事になっていくんですね。

納得いかないのは、彼のどこにそこまでの魅力があるのかが伝わってこないこと。
ピアノレッスンといいながらレッスンは全くせず、身体とピアノを交換だ、と言うハーベイ・カイテル。
枕営業とやってることは変わらないその相手に、そこまで惚れる理由が分からないんですよね。
快楽に溺れたのか?でも旦那との行為は断固拒否するし、ただの快楽目的というわけでもないだろう。

ではどこに惚れたのか?ピアノを認めてくれるし、旦那と違って自分のことを褒めてくれるから?うーん浅はかちゃう?
最終的には「君を汚したくない、ピアノも返す」というハーベイ・カイテルは確かに優しいなとは思いましたけど…。

あれかな、普段DVな男に優しくされると凄く優しいと感じてしまうやつかな?
きっかけこそ下心丸出しだったけど、DV男と比べると相当優しいしね。そう考えると惚れるのも分からなくもない…のか?

笑顔がほとんどなかったエイダ役のホリー・ハンターが、ハーベイ・カイテルに抱かれて女性に目覚めていく描写はわかりみが深い。
娘とはしゃいだり、髪型を変えてみたり。ただ娘はある程度継父にも理解を示していただけに、母に振り回されて可哀想でしたね。

ピアノよりも不倫相手が大事になっていく、エイダの心情の変化が見応えの映画。
女性目線ではかなり評価が高そうですが、甲斐性のない男目線だといまいちスッキリしなかったですね。
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