緑雨

海を飛ぶ夢の緑雨のレビュー・感想・評価

海を飛ぶ夢(2004年製作の映画)
4.8
ひとりひとりの想いは悉く真摯で、だからこそ互いに傷つけ合う。綺麗事では済まされない、剥き出しになった感情のぶつかり合い。厳しくて、そして優しい。

初めは相手の立場や感情を慮っていても、次第に、胸の奥に堪った、抑え切れない想いが吹き出して、心ならずも相手を傷つけてしまう。そんな、厳しくて、それでいて優しい対話の連続。

何よりも悲しみを押し殺したラモン(ハビエル・バルデム)の深い深い笑顔が印象的。

そして、夢。ベッドから降り立ち、海を飛び、フリアと愛し合う。あの海。あんなにまで切なく胸に迫りくる海の風景をこれまで見たことはない。

鑑賞してる最中よりも、後からじわじわと心に染みてくる。たいへんに質の高い作品であると感じた。
緑雨

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