YasuhitoArai

男の争いのYasuhitoAraiのレビュー・感想・評価

男の争い(1955年製作の映画)
4.2
ジュールス・ダッシン監督作品。
カンヌ国際映画祭監督賞受賞作品。
ジャン・セルヴェ演じるトニーは、刑務所から出所した後、弟分であるジョーから宝石を盗む計画に誘われるが・・・という話。

フレンチ・ノワール。前半部が宝石を盗むパート、後半がギャングの抗争パート。
宝石店に忍び入り、盗むまでの計画、実際の行程が緻密に丁寧に積み重ねられる。宝石を盗むテクニックを見せる感じが、ジャック・ベッケルの『穴』を連想した。
宝石を盗むメンバーが顔を合わせあったり、顔を寄せあったりしている様が少年たちが集まって遊びをしているみたいで面白い。

ジャン・セルヴェの老いたギャングは、刑務所上がりで咳き込んでいて、老い先短い感じが冒頭から伝わってくる。そしてその目。
ロベール・マニュエル演じるイタリア系のマリオの演技が良かった。硬派になりがちなフィルム・ノワールに、明るい味付けをしている。ジュールス・ダッシン演じる金庫破りセザールとのイタリア人コンビが良かった。

フィルム・ノワールにありがちな、女を原因として破滅へと向かっていく。
抗争が終わった後の、子どもを乗せて車を走らせるサスペンスが、変で印象に残る。
置かれた状況を把握しない、能天気な子どもの、緊迫した状況とのギャップも良かった。
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