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バトル・ロワイアルのShinMakitaのレビュー・感想・評価

バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)
2.5
立川の極音上映でリバイバルされた「バトルロワイヤル」を観た。



フィルムの質感、演者たちの若いルックスやガジェットからは古さも感じるけど、映画そのものは全くホコリを被ってない。

以下、ネタバレロワイヤル

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つくづく、「完璧な遺作」だなぁって思う。観客を驚かせるケレン味とバイオレンス、そして反体制反権力・反戦というメッセージ。深作映画の二大柱がこれほど明快だった作品は希少ではないかな。子供のような大人たちにバトルロワイヤルをさせる作品…言わずもがな仁義なき5部作やいつギラ…はすぐ挙がるけど、本当の子供に殺し合いをさせるのはこれだけです。

秋也と同世代の子を持つ親になって再見すると、キタノや秋也の父の論理とか思考が理解できてきます。2人が投げかける「がんばれ」というフレーズ。あまりに空疎な言葉なんだけど、これを口にせずにはいられないほど大人も追い詰められているのです。子供達は「何をがんばればいいんだよ」と困惑するんだけど、がんばれってのは「俺みたいな大人になるな」ということなんだよ。現代社会の本質や矛盾を見つめ直さず、ただ歯車となってもがき生きるだけの大人になるなというメッセージ。それが理解できるのが、俺が大人になってからというのも皮肉な話なんだけどね。


娯楽映画としての見せ場としては、灯台の場面が好き。「白い肌の異常な夜」みたいなシチュエーションで、1人の女子が秋也の食事に毒を盛ったことから4人が疑心暗鬼に陥り「レザボアドッグス」展開になる一連のシークエンス。ここのアクションがいかにも深作映画っぽい目まぐるしさと虚しさで、イチオシです。キャストでは、やはり柴咲コウが最高で最狂。スクールカースト、援助交際、ルーズソックス…彼女周りのシーンだけで、時代感と普遍的な「女の恐ろしさ」がひしひしと伝わってきますよね。


未見の方は必見の本作。昔観た人も、40超えたら観直すべき一本。興味本位で子供の殺し合いを描いたわけじゃないってのが判ります。これを上映禁止にしようとした大人にはなりたくないし、自分もなっていないと信じたいね。



バトルロワイヤルDVD日記
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