彦次郎

侍の彦次郎のレビュー・感想・評価

(1965年製作の映画)
3.9
恋する女性の為に文武両道の道から外れヤサグレた浪人となった男が井伊直弼暗殺で武士として仕官を目指すという幕末時代劇。原作『侍ニッポン』。
剣の腕を頼りに無頼に生きる侍が主人公ですが『用心棒』とは異なり父親の正体を知らされていない不幸といった過去が重要な役割を果たしています。暗殺軍団に加入した事で親友と出世を天秤にかけ悩む姿もリアルな人間像でした。若侍時代を演じるのにはだいぶ無理が有りますが野良犬の様な侍で深みを与える演技はさすが三船敏郎と言えるでしょう。
猜疑心の塊みたいな首魁や心から坊ちゃんを心配する番頭など脇役が印象的でした。
終盤の雪降る中での桜田門外ノ変という死闘と虚無的なラストも忘れ難いです。
彦次郎

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