1945年 監督:黒澤明 2022.09.03視聴-404 評価3.5
● 藤田進
●月形龍之介
● 大河内伝次郎
●轟夕起子
第3作
監督デビューを果たした「姿三四郎」の続編だ。前作で檜垣源之助を倒した三四郎に空手家の弟・鉄心が挑む。鉄心役は、月形龍之介が二役で再び登場。クライマックスはその鉄心と三四郎の雪山での死闘だ。
この映画で、姿三四郎はボクシングとも対戦している。
1945年5月が制作年月になっている。この環境の中で、アメリカ対日本の構図を作り、日本を勝たせることで観客を湧かせている。
ちょうどその後の力道山のプロレスみたいなシーンになっていて、映画を観た当時の観客は相当沸いたのではなかろうか。
余談だが、この頃観たイップマンでもボクシングとの闘いを描き、中国対アメリカの構図を作って観客を沸かせるシーンが描かれている。これも、こんなところに原点があるのかもしれない。
同じ武道同士より異種格闘技戦の方がその緊張感は数倍強くなる。どう組み合うかもわからないからだ。
だから、映画的には、ボクシングに柔道はどう立ち向かうのか、空手にはどう立ち向かうのか、三四郎が何を考え挑むのか、そのヒントぐらい見せて欲しかった。
後年の黒澤明なら考えそうなのだが。
それにしても、ボクシング、空手をもう少し現実的に描いて欲しかった。あまりにチャチすぎる。ということは柔道そのものもなのだが。ただ、正五郎が徳利で描く柔道の技は素晴らしかった。どんな技かはっきり見えた。
三四郎役の藤田進は当時ヒーローとして大人気だったそうだ。藤田進が重なる三四郎の朴訥とした性格がこの映画ではさらにはっきりと描かれている。当時の日本人はこういう人物をヒーローとして求めていたということか。