シャチ状球体

東京画のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

東京画(1985年製作の映画)
3.4
ヴィム・ベンダースが東京の街を撮ったドキュメンタリー。なんで?

冒頭からいきなり監督が小津安二郎映画を褒めちぎり、バブル真っ只中で活気あふれる東京の風景が映し出される。
別世界過ぎて夢のようだと監督がナレーションで話すけど、街中を歩く誰も彼もに生気があって今見ても夢のよう。これって本当に日本?この映画の中にある日本は欲望と希望と熱と精神力に満ちていて、このまま発展してたらどんな国になってたんだろう……と想像せずにはいられない。

パチンコに関しては、今アニメやソシャゲに熱中している層がシフトしてくる前の娯楽だと思う。職人も"釘師"も、今は非正規に置き換わって技術が途絶えたか仕事自体が消えてしまったか。たぶん派遣法の改正前だから、この人たちは全員正規雇用だよね……。
あと、この頃から人権意識が日本のコンテンツから急速に失われていく。


何だかんだで食品サンプルを作る作業工程を長~~~~~~く撮っているシーンが劇中で一番有意義だったかも。
ただでさえ保守的な日本の都市空間を更に保守しようとするこの映画は一体何なんだろう……と思ったりした。小津映画ファンなら感慨深いものがあるのかな……。
シャチ状球体

シャチ状球体