Eryyy678

ダークナイトのEryyy678のレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.8
悪役の魅力っていうのは、人を何人殺したとか、どれほど残虐な行為を行ったとか、そういうことじゃないんだなって感じます。そして改めて思うのは、やっぱヒース・レジャーってすごい俳優だなってこと。

「俺の信念はこうだ。死ぬような目に遭った奴は″イカれる〟」

バットマンビギンズの続編にあたる本作。″ジョーカー〟の登場により、ゴッサムシティは前作以上に混迷を極めることになる。

新キャラのハービー・デント。検事である彼は、腐敗した街から闇を取り除くために闘う。ハービーに、ゴッサムシティの希望を感じたバットマンは、彼に街の未来を託そうとする。

ハービーが″光〟ならバットマンは″闇〟の存在と言えるでしょうか。しかし光と闇は表裏一体であり、そこに落とし穴がある。

「狂気は重力のようなもの。人はひと押しで落ちていく」

心というのは、えぐられると正気を失ってしまう。怒りや哀しみを制御できなければ、人は容易に狂気にとらわれる。そしてそれは、新たな″ヴィラン〟すら生み出す。

命の取捨選択。もし選択を迫られたとして、誰かの命は救われるが、その選択が他の誰かの命を奪うものだったら?
何かを得るために、誰かの命を犠牲にする苦しみ。けれど選択の結果は、その人自身が背負わなければいけない。
ジョーカーの怖さっていうのは彼が「人殺し」で「クレイジー」だからとかではなく、人を狂気の″闇〟に引きずり込んでしまうことなのかも。

それでも筆舌に尽くしがたい魅力がジョーカーにはありますね。恐ろしいけどかっこいい。狂気と恐怖と喜びの感情が同居するような、抑揚のある演技はさすがというか、なんというか。彼のセリフには好きなものが多いですが、
「And...Here we go...」
ってとこが特に好き。
Eryyy678

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