真田ピロシキ

バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

2.7
先日数年間バットマン及びアメコミにハマるきっかけとなったゲームのアーカムアサイラムを12年ぶりにクリアしてポイズンアイビーに大変苦しめられたのでこの映画を見た。この映画はノーランがリブートするまでバットマン映画を途絶えさせていたので評判は悪いが、私のようにアメコミヒーローに冷めきった人間が割り切って見るには問題ない。幼稚でバカバカしいと言いますが、大人が真面目な顔してコスプレで殴り合う時点でどんなに取り繕っても馬鹿げてるんです。オモチャくさいセットや小道具など、マンガマンガしたキッチュさは滑っているものの(氷だけに)狙った方向は悪くないかと。

これでも案外バットマンのツボは押さえてて、アイビーに操られた影響でロビンがバットマンに反抗的になり独立を考えるのは原作でナイトウィングになるのを意識していると思われる。そう言えば前作で名前候補にナイトウィングと言ってた記憶が。リドラーの衣装やジョーカーの持ち物らしきアイテムを映したり、アイビーに対してバットマンが「良い女は何でみんな悪女なんだ」とキャットウーマンを仄めかしたりと過去作への目配せをしてて、分かる人には分かるサラッとしたサービスが心憎い。今のクソッタレユニバース集金映画のように別の映画を見ることを強制されるよりずっと健全。昔クソゲーレビュアーのAVGNと並んで一部界隈で人気があったNCという男がこの映画を小馬鹿にしまくっていたのだけれど、その内容が乳首や尻を強調したセクシーバットスーツに始まり、病気で死にかけているアルフレッドに対してブルースが「I Love You」と言うのを茶化すホモソーシャルオタクの同性愛蔑視の煮凝りみたいなもので、今となってはそういう連中に不当に叩かれてた性格が大きいのではないかと思う。アルフレッドへの言葉が愛する家族へのそれだというのは誰が見ても明らかなのに。クソオタクめ。ミームという名のイジメ大好きだよなオマエラ。

バットガールのバーバラがゴードンの娘ではなくアルフレッドの姪になっているのは本シリーズでゴードンがただの名前のある脇役でしかないので妥当な改変。アイビーを「女の武器で戦うなんて時代遅れ」とdisってて古めかしい女の強さからの転換を描かれているとも言えなくない?男しか魅了できないアイビーって結構しょっぱいよね。能力などではなく純粋にお互い心が通じ合ったハーレイクインと組んでそんな安っぽいファムファタールから脱却したのは大きい。さっさとアイビーを映画に出してハーレイと組ませろDC。この旧シリーズは敵の命を奪うことにあまり抵抗がなかったが、本作ではアイビーは死なずMr.フリーズも改心させて人を救う方向に向かわせているのは結構原作寄りと言えてベン・アフレックの一般市民やモブ敵の命には興味がないけどジョーカーだけは絶対殺さないマンよりはずっと良いバットマン。だがベインだけはこんなのどうでもいいと救われなかった。いつもと同じ低脳筋肉ダルマだが強いことは強いので面目は立ってる方。

今のDCがやってる辛気臭いだけのバットマンよりは楽しめた。もっとこういう荒唐無稽なノリが許されるべきなんだ。