ツクヨミ

私のように美しい娘のツクヨミのレビュー・感想・評価

私のように美しい娘(1972年製作の映画)
4.1
女性犯罪者のとんでも回想録的コメディに"あこがれ"的トリュフォー要素で締めるテイストがいい感じ。
フランソワ・トリュフォー監督作品。特集"フランソワ・トリュフォーの冒険"にて鑑賞、"あこがれ"と同時上映されていた本作、勢いで見ていくコメディに全力で笑えて楽しめた。
まず今作はとある社会学者が研究という名目で、刑務所にいる女性犯罪者を取材していくという物語。とてつもない展開の速さで、女性犯罪者の過去が徐々に語られていく、そして同時に徐々に女性犯罪者に轢かれ始めていく社会学者という構図もまた面白い。
最初は女性犯罪者の少女の記憶から始まるが、なんともおかしい動きでちょっとファンタジックに見せるスタイルがまあ面白かった。家庭内暴力が起因でちょっとした事故から父親を殺してしまった少女、いやそうはならんやろと言いたくなる軽快さがなかなかにツボだ。そして留置所行きから軽快に脱走、いろんな男を手玉に取って好き勝手やりまくりだす女性犯罪者の狂行的愛の振りまき方に爆笑、どんどん犯罪に手を染めているのにめちゃくちゃコメディとして映るのがまあ楽しい。
またラストにかけてはトリュフォーの"あこがれ"的要素が社会学者に乗り移り、女性犯罪者に轢かれて狂っていく展開がめっちゃトリュフォーっぽくて好きだ。報いられる筈の無い恋愛感情が暴走してちょっと笑えるが悲劇となってしまう終わり方、反対に女性犯罪者がまたまた上昇気流に乗り戻っていく風刺まで見える犯罪悲喜劇としてめちゃくちゃ楽しめる。
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