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帰郷のnagashingのレビュー・感想・評価

帰郷(1950年製作の映画)
3.0
占領下の異国における大人のラブストーリーだとばかり思っていたが、話の背景として軽く言及されたものへも次々とフォーカスが。ドラマは予想外の広がりを見せて、戦前と戦後の断絶までをも射程におさめていく。分別がつきまくる圧倒的に強靭なメンタルのなかに、家族への不器用な愛情をしのばせる佐分利信が鬼シブで激萌え。小津映画の印象が強いせいか、ちょっとつつかれれば小市民的な愛らしい底の浅さを露呈させるものとたかをくくっていたが、一周まわって笑えるほどの尋常ならざるダンディズムを発揮する。苔寺で父娘が再会する美しいシーンのサスペンスフルな編集、佐分利と津島の微細な視線と表情が妙技。
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