こたつむり

サムライのこたつむりのレビュー・感想・評価

サムライ(1967年製作の映画)
3.8
アラン・ドロンの色気漂う105分。

うひゃあ。すげえ格好良い。マジ惚れる。
なんでしょうかね。この色男は。もう、同じ性別、同じ生物と思えないですね。何が違うのでしょうかね。トレンチコートと帽子を身に纏い、ポケットに手を突っ込んで靴を鳴り響かせて…って、うん。最高ですわ。いやぁ。見習いたいなあ。でも、失笑されて終わりなのだろうなあ。

これはね。
アラン・ドロンの魅力もさることながら。
それを引き出した監督さんの実力でもありますね。

タバコの燻らせる煙。
窓の外から聴こえる雨音。
店裏の廊下の石壁のモルタルの形状。
ただ、それだけの場面なのに。
ぐぐぐっと惹き込まれるのですね。痺れます。

物語としては。
今のご時世、ありふれたプロットだと思います。
でも、だからこそ。何も前情報を仕入れずに鑑賞した方が良いと思います。そうすれば、冒頭の張り詰めた10分弱の場面で手に汗握るほどに楽しめますよ。

というか、その冒頭で躓いてしまうと全般的に楽しめないかもしれません。あまりにも硬質的で台詞を排除した物語だから観る人を選ぶのです。逆に言えば、序盤の展開に興奮するならば些細な部分も楽しめると思います。例えば挿入曲とか。哀愁が漂う旋律が本作にとても似合うのです。

それと、忘れてはいけないのが“鳥さん”ですね。助演動物賞があれば授与したくなるくらいに大切な存在。この“鳥さん”の存在も個人的にはツボでした。

というわけで。
フランス人から観た “サムライ”の印象で作られたストイックな作品。誰でも楽しめる作品ではないかもしれませんが“男の美学”を学びたい人は是非とも。
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