「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:12/12
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆
「午前十時の映画祭11」にて。
1952年のアメリカ映画。
ある意味恐ろしい内容だった。
だって、主人公を誰も助けないのだから。
ケーンがかつて逮捕したフランク・ミラーが釈放され、復讐しに来る。
これを迎え撃とうと協力者を募るも、誰一人として手を貸さない。
別にケーン自身が嫌われているわけではない。
自分も命を狙われることを恐れたり、単にそこまでするほど興味がなかったり。
理由は人それぞれだけど、町中の全員が協力の申し出を断る。
そういう意味で、本作は当時から画期的な映画だったらしい。
それまでの西部劇は無敵のヒーローを描くのが通例だった。
だから、誰にも助けてもらえず、孤独に苛まれる主人公というのは異例だったと。
これ以降、西部劇の主人公の描かれ方が変わったらしいよ。
確かに保安官でもないのに、一般市民が命を懸けるのは並大抵のことではない。
でも、映画だからね、協力して作戦を練る姿勢などは見せてもいいはず。
なのに、みんなスルー。
いつもケーンにお世話になっているのに、恩を仇で返すようだった。
断られ続けたときのケーンのやるせない表情ときたら。
人って意外と他人のことには無関心。
いつだって自分が一番かわいい。
そんなメッセージを感じ取れる映画。
なんとか決闘には勝利するも、ケーンの目には人を信じない眼差しだけが残っていた。
70年経った今でも通じる内容だと思う。
また、この映画は85分なんだけど、作中でも同じぐらいの時間の進み。
リアルタイム劇なんだとか。
長い映画史の中でもそうそうない手法。
それにしても、当時22歳のグレース・ケリーの美しさが眩しくて。
品があって可憐で。
そりゃモナコ王妃になりますね。
そして、ゲイリー・クーパーの渋さね。
先日亡くなられた千葉真一さんも尊敬する俳優の一人として挙げていそう。
ちなみに、この撮影中にゲイリー・クーパーとグレース・ケリーはそういう関係だったらしい。
30歳の年齢差もなんのその(笑)