再見。
天使とは何か。
顔に濡れた血にすら生の喜びを見出すブルーノ・ガンツか、ロンパリの目で素敵に微笑むピーター・フォークか、空中ブランコで美しい弧を見せるソルヴェイク・ドマルタンか。
とにかく、全ての眼差しがあまりにも優しく、全ての声がとてつもなく愛おしい、真の意味で美しい一本。
中学の時に観た時はさほど感じなかったけど、改めて観て本当に心の底から凄まじいと思ったのは、ペーター・ハントケの詩、ではなく、アンリ・アルカンの撮影だ。
ベルリンの空を舞い、アパートの窓を出入りし、広々した図書館を漂う浮遊感。ピーター・フォークの撮影現場の場面が特にそうだが、モノクロの画は荘厳で、光と影が本当にとんでもない。にもかかわらず、カラーになってからの開放感・人生賛歌感も同じくらいヤバい。
湿度も温度もそれぞれ湿り気/乾き、暖かさ/冷たさを明確に使い分け、視覚に訴えてきて、これはもう、人生の酸いも甘いも知り尽くした者の視線だという他ない。
映し出される誰よりも、アンリ・アルカンこそが天使だった。