みんと

ベルリン・天使の詩のみんとのレビュー・感想・評価

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)
4.0
モノクロとカラーの組み合わせが一際印象的な詩的で美しい作品だった。
また頗る芸術性の高い作品でもある為難解を極めた。

東西に分断され戦争の傷の癒えないベルリンの街を見下ろす天使。『命』と言う概念が無い彼らにとっての世界は色を持たないモノクロの世界。ただ見守るだけ。

けれどオジサン天使ダミエルがサーカスの美女マリオンに恋をし永遠の命と引き換えに地上で人間として生きる事を選び、
そこからは一気に色を帯びた世界へと変化するがその映像の見事さには圧倒された。

大凡を締める詩のようなセリフはとても抽象的で難解であるものの、ベルリンの壁崩壊2年前の作品と知るとそのセリフの一つ一つが意味を持ち胸に迫るものがある。

永遠の命よりも恋を選んだダミエルを通して、例え愚かな人間の一人だとしても限られた命の中で与えられた使命は必ずあるのでは無いか...なんて哲学的思考になったりもした。

今作が僅かでもベルリンの壁崩壊へと導く布石だったとしたなら、
とてつもなく深く精神性を追求した作品だった。
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