このレビューはネタバレを含みます
マックスの頭の中のような自室にはコンピューターという頭脳が鎮座し、扉越しにドアスコープという目から覗くのは外の世界。マックスが数字にのめり込むほどに部屋にアリが湧き、いつしかおびただしい数のアリが脳の上を這い回っている。文字通りバグ(アリ)がコンピューター(脳)を支配する様はそのこと以外考えられないという依存状態のように見える。数字の法則の解明に囚われたマックスは薬物を常用し、性にも…コンピューターが計算している背後には喘ぎ声が響き、絶頂が訪れるとクラッシュする。コンピューターと囲碁や本といったデジタルとアナログの対比が描かれていて、オートメーションは抑制が効かずに破滅し、マニュアルであっても人にバグが現れると同じ結果になってしまう。株屋と宗教といった金と神の対比というか同一化は人を支配する存在として、マックスはそれらを超越しようとしていた。ラストは解放された様に見えるマックスではあるけれどπには終わりがない。マックスといつも一緒に数字遊びをしていた女の子もいつの間にか数字に取り憑かれ始めていた…。ロボトミーのような傷跡や数学的なタイトルがピノキオ√964、硬質な映像や電子音楽、地下鉄の通路、数字に取り込まれる様は鉄男のようだった…ラストのドリルはチンコドリルのオマージュだと勝手にほくそ笑んでいたよ。あの傷跡はまた振り出しに戻り、悟ったつもりを繰り返すんだろう。図らずも昨日見た私の夜はあなたの昼より美しいよりはノイズが少ない分見やすかった。頭痛を視覚化したような脳みそツンツンと人身事故…偏頭痛持ちには応える。