みかんぼうや

未知との遭遇のみかんぼうやのレビュー・感想・評価

未知との遭遇(1977年製作の映画)
3.4
【なぜか避けてきた名作を食らうVol.13】
先日「フェイブルマンズ」を観た際に、スピルバーグ作品の面白さと映画愛に触れ、スピルバーグのまだ観ぬ有名作を観たいと思い、本作を視聴。もともとSFがそれほど好みでないため、本作と「E.T.」を無意識のうちに避けていたのでしょう(「E.T.」も昨年初めて観ました)。

観終わった感想は、さすが、スピルバーグしてる!というエンタメ感。1977年当時にこれを劇場で観ていたら、それはもう強烈なインパクトがあったでしょう。なんと言っても見どころは終盤の宇宙船や宇宙人との接点のシーン。「これぞ映画!これぞ究極の総合エンターテインメント!」という映像と音楽の力強さ。・・・だったのですが、正直に書くと、個人的には今まで観たスピルバーグの作品の中では、あまり楽しめなかったです。

終盤の映像など当時としては凄いと思うのですが、皮肉にも本作がSF映画の金字塔として「人間が宇宙人と出会うまで」の一つの完成形を作ってしまい、その後に登場する多くのSF作品では、「人間と宇宙人が会うことが当たり前」になってしまったため、2024年現在に観ると、どうしてもクライマックスの宇宙船や宇宙人との接触について、新鮮さに欠けて見えました。

また、本作はそのクライマックスに向けてのワクワク感で引っ張られる部分が大きい故に、そこまでの過程にやや間延び感があり、クライマックスも上記のとおり鮮度には欠けるなか、スピルバーグには珍しくあまり伏線回収せずに含みを残したままの終わり方だったので、若干肩透かし感じがありました。

が、このテーマでスッキリ綺麗にまとめられては、逆に幻想性が失われてしまうから、これで良いのかもしれませんね。そして、この5年後に、あの「E.T.」誕生。本作での未知なる地球外生命体との遭遇から、その生命体と人間間の友情というテーマに落とし込まれていくことを考えると、「E.T.」は「未知との遭遇」で描き切れなかったスピルバーグのロマンチシズムを表現した、実は正当なる続編だったのかもしれませんね。
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