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ジキル博士とハイド氏のtransfilmのレビュー・感想・評価

ジキル博士とハイド氏(1932年製作の映画)
4.4
ひじょーに有名な作品だと思う。
映画としてというより、「ジキル博士とハイド氏」が話としてよく知られてるんじゃないかと思う。
子供の時から、「ジキル博士とハイド氏」みたいな話にはすごく興味があったし、他の小説や映画に出てくる二重人格キャラは基本的にみんな興味がある。
この映画が、”二重人格”のクラシックといえるのではないかな。

この映画を観てると、ふいに”ハイド”になりたくなるジキル博士の欲求はなんとなく理解できる。
皆さんも、

「ダークナイト」のジョーカーになりたい!
とか
「氷の微笑」みたいに思いっきりヒールな悪女になりたい!
とか、
「悪魔のいけにえ」みたいなサイコ野郎になりたい!

・・などといった欲求を心の奥底で感じたことはないでしょうか。
自分は現実でそんなに悪に染まったことはないけれども、
たぶん、悪に思いっきり染まるのはすごく快感なことなのではないかと思う。想像ですけど。
だけど、現実問題としては悪人に完全になりきるのはすごく難しい。
だからこの映画のように、悪の道に進むことを阻害する「他人に対する感情移入」や「愛情」や「悪に対する恐怖心」を分離することができれば。。
しかも、姿まで別人になれるのならば・・。

という、ちょっと危ない好奇心を刺激してくる話です。
すごく原始的な話だけど、「ジキル博士とハイド氏」は、人間という生き物の普遍的な姿だと思う。
人間というのは誰もが二面性をもっていて、
あたりさわりのない社会的な面の裏には、少なからず悪の道に魅了されている裏の面が隠れているものだと思う。
(いえ、そっちの面が表です。という人もいるでしょうが!)

p.s.
観終わった後に知ったのですが、この映画が、ベネチア国際映画祭の記念すべき第一回金獅子賞受賞作品だそうですね。
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