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バスターのバラードのtransfilmのネタバレレビュー・内容・結末

バスターのバラード(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

お久しぶりのレビュー。
映画を観なくなったわけではなくて、最近は長文を書くのがめんどくさいので一言二言の感想で済ませている。でも、この映画はネタバレ含めて感想を書きたくなったので、filmarksに投稿。

コーエン兄弟の西部劇です。西部劇といえば、無法地帯、今よりももっと簡単に人が死んだ時代。6つのオムニバスはどれも一見何の意味もないような小話。そういった話にどんな意味を見出すかは、観る人次第なのかな。

以下、自分の感想です。

1. 勝負事に滅法強そうな歌好きの早撃ちガンマンが、
人生を謳歌している。。と思いきや、自分よりも早撃ちのガンマンに
出会って撃たれて死んでしまう。
どんなに優秀で華がある人でも永遠に続くことははない。
人生ははかない。そんな話。

2. 自分の犯した罪では死刑にならず、他人の罪のぬれぎぬで
死刑になる男の話。「罪を裁く」という事の測りがたい重さは、
無法時代の西部劇に場を移すとより一層、不可思議なものになる。
そんな話。

3.現代人にとって、他の動物より人間の命が尊いのは当たり前のこと。
西部劇の旅芸人にとっては、五体不満足の人間と鶏の命は等価。
西部の時代に生きる人たちより、現代人の「人権」に対する
ブラックジョークのようなお話。

4.黄金を求める老人の心は若かった。なぜなら彼の黄金に対する気持ちは欲望ではなく、ロマンだから。卵を奪うシーンから老人のそんな心が読み取れる。そんな男には決して負け犬の人生を送らせないのが西部劇。

5.この映画のmyハイライト。
道しるべになるものがない荒野を進む姿は、何かを信じ続けることが
できない人間の人生には酷。
そんな荒野の中でも信念をもって生きてきた老人は幸運にも命を拾い、
何も信じれなかった女性は無意味に命を落とした。
そんな話。

6.3人の男女が、馬馬車で死神の役目を負う人間たち(賞金ハンター)の話を聞き、実は自分たちは最後の審判を下される場に向かってるんじゃないかと疑心暗鬼になっている。
なぜなら、西部劇の時代に生きる人たちは、明日、自分たちが
生きてるかどうかは身近な問題だし、神も悪魔も身近な存在だから。
そんな話。
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