マーくんパパ

霧の中の風景のマーくんパパのレビュー・感想・評価

霧の中の風景(1988年製作の映画)
4.1
12歳の少女と5歳の弟が父に会いにアテネからドイツ行きの列車に飛び乗る。会ったこともない父、ホントにいるかもわからない父を目指す2人の冒険潭。無賃乗車が見つかりで降ろされ、出逢った旅芸人一座の青年が親切にバスやバイクに乗せてくれジワジワ北に進む。青年が拾ったフィルムの切れ端、霞んで何も見えないゴミフィルムを少年はポケットに仕舞い込む。トラック運転手に狼藉受けたり警察に追い回されながら幼い2人は父がいると信じて未知の国へ手を繋ぎながら進み、とうとう霧が立ち込めるドイツ国境線の河面に着く。夜霧に紛れ一艘のボートで河を渡る2人、国境警備隊の銃声が1発闇に轟く。翌朝、彼岸に流れ着く2人、霧が少しづつ晴れてきて霞んだ先の野に一本の大きな木が見えてくる。2人は一目散に駆け出して行く…。実体のない希望に向かって進む恐れを知らない子供の勇気。この映画を挟んだ前後作『旅芸人の記録』『こうのとりたちすさんで』では一転、歴史に翻弄され放浪する芸人一座や境界線に閉じ込められた移民者を描き対比しながら観るとすこぶる面白い。