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ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトル・スター・ウォーズ)のdm10foreverのレビュー・感想・評価

3.8
【子供のボクと今の僕】

ドラえもんの映画は父さんによく連れてってもらったっけ。
きっと父さんにしたらつまらないアニメだったかも知れないけど
とにかく沢山連れて行ってくれた(あ、過去形だけどまだ生きてるよ)。

その頃はまだのび太君よりも年下で、でも同じような目線で「世界」を見ていた。自分で電車に乗って好きなところにいけるわけでもないし、運転免許や車を持っているわけでもないから「行きたい時に行きたいところへ」行けるわけもなく、当然自分の家の周り(半径2~3㌔)が僕の「世界」だった。当時はネットなんかもなかったからね。
その中で友達と遊んだり、喧嘩したり、野良犬にエサをあげたり、裏山に秘密基地を作ったり・・・。隣の小学校の校区に行くだけで「国境」を越えるかのような妙なドキドキ感。
今考えれば歩いて数分の世界が「僕の全て」だった。

あれから30年以上経った。
当時の実家の近くを車で通り過ぎる。所要時間4~5分。
こんなにもあっけないくらい狭い世界だったのか・・と当時を思い出して懐かしくもあり、甘酸っぱくもあり、ちょっぴり「おセンチ」モード。

もしあの「世界」にドラえもんがいたら、どうなっていただろう?
もっともっと遠くにも行けたし、もっともっと色んなものが見れたのかな?
妄想するだけでもワクワクする。

でも、思った。
あの頃はみんながのび太君で、しずかちゃんで、ジャイアンで、スネ夫で、出来杉君で。もちろんドラえもんがいれば完璧だったかもしれないけど、いなくても毎日キラキラ楽しかった。

この映画はドラえもんの数ある映画の中でも飛びぬけて好きです。
年々好きになっているかもしれない。
武田鉄也さんが歌う主題歌「少年期」の影響も大きいかな。

♪ああ僕はどうして大人なるんだろう?
♪ああ僕はいつごろ大人になるんだろう?

ほんとだね。僕はいつ大人になったんだろう?
子供の頃を懐かしむようになった頃から?
人間だから「あの時のまま」ではいられないけど、
僕にとってこの映画は「あの時のまま」の気持ちをカプセルに閉じ込めたような、優しい意味のある映画です。
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