映画を見る猫

アメリの映画を見る猫のレビュー・感想・評価

アメリ(2001年製作の映画)
4.8
十代の頃、夢があった。一人暮らしを始めたら 
朝から晩まで映画を見よう、と。
映画史を数多に彩る名作なんて、なにも知らなかった。輝かしき名匠の名もなんて、1つも知らなかった。 
けれども、あの頃の自分にとって
全ての映画が宝箱だった。
私にとって、この映画は、初めてのフランス映画で、焦がれるような恋物語を謳っていた。
あれから何年?
朝から晩まで映画を見ては、都会も、遊びも、恋も、映画も、あの頃よりは随分知っていく、私はもう子供じゃない。全ての映画が私にとっての、宝箱にはならなくなった。訪れるかもしれない恋の始まりに、夢を見ることも少なくなった。
クリームブリュレにスプーンを立て、にまりと微笑む彼女の年齢を、私はいつの間にか越えていた。
映画は夢、圧倒的な夢物語。想像力の豊かさを武器に変え、臆病風を味方につけて、現実もこんな風に全てが上手く行けば最高なのにね。