生理を「穢れ」と呼び、タブーとする社会。
多くの男性は、その存在すら知らない。
1ヶ月のうち5日間。
女性は汚い布をあて、夫に触れることは許されず、家に入れず外で寝起きする。
これが2001年のインド。
たった十数年前の話というのだから、衝撃しか走らない。
と言って、日本に暮らす私たちが、この映画を見て、胡座をかくことができないのも事実である。
「生理」は「穢れ」
これは決して、インド特有の文化や宗教に起因する偏見ではない。
この映画を見ながら、私の母が昔から「生理だ」と父の前で言うと、顔を真っ赤にして怒ることを思い出した。
そんな恥ずかしいこと、声に出して言わないで、と泣きそうな顔で。
子どもを産むための準備が、生理なのだから、それを汚れと扱う理由はどこにもない。
大人になって、そう説いても、全く理解はされなかった。
慣習と思い込み、長年染み付いたそれを変えることは極めて難しいのだ。
日本でも、整理用品はまるで汚物のように黒い袋に入れられる。
性教育は、男女別の部屋にわけられて秘密のように行われる。
女性のそれに関する男性の理解や知識は、インドを笑えるほどには高くないだろう。
男性はその痛みを体験することはできない。
けれど、知識として理解することはできる。
それだけで、女性が救われる、そんな場面はきっと多くある。
だから、最後のスピーチは本当に必見だ。
できるだけ多くの人に見てほしいと心から願う。
(できれば、吹き替えでなく字幕で)
また彼が、あれだけ素敵な女性と駆け落ちせず、妻のいる村に帰るのが美徳のようにエンディングを飾るのも、1つまたこの国の楔を表してるように感じてならない。
性別も人種も、自分と違うものに想像を巡らし、理解するのはなんと難しいことだろう。
いつの世も、それを試みる人だけが異なる世界の架け橋となり、世界をより良い方向へと変えていくのかなと感じた。