本日3月20日はアフリカ系アメリカ人という立場から、気鋭な社会派作品を次々に発表するスパイク・リー監督の61歳のお誕生日です!
傑作『Do The Right Things』で人種差別と偏見が招く群像劇を描いたリーは2年後、
再び国内の人種問題に深く切り込んだ本作『Jungle Fever』に着手。
妻子持ちの黒人建築家フリッパーと、イタリア系の派遣OLアンジーが恋愛関係に陥ることで浮き彫りになる人種問題を描き出します。
"人種のるつぼ"と称されるNYでもやはり居住区に関しては排他意識が根強く、
歴史ある黒人街ハーレムと歴史あるイタリア移民街ベンソンハースト、それぞれ強い結束が闖入者を拒むコミュニティ体質を構築。
黒人と同じく"よそ者"の立場にありながら、肌の色で白人にカテゴライズされる社会的優位なイタリア系アメリカ人が比較対象に。
『DTRT』でもイタリア系は重要な役割を担いましたが、
本作ではステレオタイプな人種と階級の立場を逆にすることで、新たな差別感情を野心的に生み出します。
黒人の間で細分化される格差意識と混血度合いも重点的に描写。
またアンジーにフラれたことで前進する青年ジョン・タトゥーロのサイドストーリー、
『110番街交差点』ぶりに伝説的な黒人映画に出演するアンソニー・クイン、
クラック中毒のボンクラ兄貴サミュエルLジャクソンの怪演など、
冗長な本筋より脇役ながら魅力が光る名優たちにも注目。
21世紀に入っても未だ人種問題を扱う作品が絶えないアメリカですが、
ここはスパイク・リーに再びエッジの効いた社会派ドラマでカウンターを食らわしていただきたい!