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やわらかい手のmajiziのレビュー・感想・評価

やわらかい手(2007年製作の映画)
4.0
孫の手術代のために手コキで稼ぐことになる中年女性のお話。
なんと彼女は黄金の手(やわらかい手)の持ち主だったのです!

マギーは夫に先立たれたごく普通の専業主婦。イギリスの田舎に住んでいて金持ちではないけれど極貧でもない。息子夫婦もこれまでの膨大な治療費がかさみ、手術代を捻出できません。マギーは自分がどうにかしようと銀行に融資を頼むも断られ、ハロワに行くも職歴も資格も無いババアお前に何が出来るねんと言われる始末。

八方塞がりの中、高額な接客求人の貼り紙のある風俗店の中へ。そこでも接客っていってもウエイトレスとかじゃなんだけど・・・お前に何ができるの?という展開。

壁の穴から差し込まれる男性のモノを手でイかせるという紹介された仕事に、最初は断るも、でもやっぱりお金のため・・・とオドオドして嫌悪感たっぷりにはじめるマギー。

冒頭、本当に鈍臭そうな中年のおばさんだったのが覚悟を決めて仕事をしだすところから、終盤には自信を持って堂々とした強い女性に見えるところがいい演技してるな〜と感じました。

閉鎖的な田舎の小売店でのやり取りや、近所の主婦同士の会話、息子夫婦との関係まで随所に見せ場があって、笑いあり、涙ありの隙のない脚本。テニス肘ならぬ、○○○肘のくだりは爆笑。

風俗店の同僚との関係はイギリスの貧困実情や、結果を出したものが全てという厳しい現実が反映されており、マギーの諸々が吹っ切れた瞬間を見ました。
そしてなんと言っても秀逸なのがラスト。この作品はいろんなテーマがありましたが最初から最後までマギーの物語でした。

マギー役は往年のアイドル、マリアンヌ・フェイスフル。お若い頃のことは存じ上げませんが、検索してみたらめちゃくちゃ可愛い!ゴダールに見出されたり、ミック・ジャガーの恋人で有名だったそうで、そう考えるとこのキャスティングも絶妙だったのではと思います。

マギーのお仕事の直接的描写はないのでご安心くださいませ。
壁の向こうの男性側の声や様子がなかなか滑稽で面白いです。
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