このレビューはネタバレを含みます
❶2020/08/03
❷2024/10/21
🟨【良かったところ】
緊張と緩和のバランス感覚がすごいから
暴力的なシーンがあると、補うように
上司に対して
可愛い部下みたいに寄り添う吾妻、
部下に「タクシー代 替えといて」って
茶目っ気たっぷりに頼む吾妻、
傘がないから部下と相合傘する吾妻、
みたいなカワイイ吾妻の描写を出して
緊張感 緩めてくるの隙がない。
場面ごとの緩急にもなってるし、
凶悪を売りにしてる吾妻ってキャラに
別の一面を加えることで
魅力的な主人公にもしててすごい。
暴力シーン、
「この辺りで切り替わるかな」って所から
もう10テンポぐらい続くの怖い。ホラー。
あの執拗な追い討ちが
暴力を印象付けてる要因な気がする。
暴力描写を遠くから俯瞰して見せる
温度感の行方不明具合というか、
独特な安っぽさが唯一無二で新鮮に写る。
警察が金属バットで殴られる直前のカット、
10万ボルト喰らったみたいに痺れた。
作中で一番カッコいいカット。
あの妙な追走シーン、
緊張感の作り方として
台本なしで撮影してるんじゃないかって
思うような勢いしてて印象に残った。
後部座席からのシンプルなカットなのに、
外に映る一般市民の反応とか
車との距離感がウソみたいに近いから
画面一帯をリアリティが覆ってて、
胃が浮つくような緊張感があった。
ふわっと始まったシーンで、
過ぎ去るように
橋の下で首を吊ってる岩城が
唐突に描かれる不意打ち、緩急の申し子。
執拗に用意されてる歩くシーンは
見てるうちに靴のカツカツ音が
タップダンス見てるときみたいな
心地よさ供給してきて楽しい。
歩くシーンの後ろで流れてる、
珍妙でいて怪奇な気配も感じる
あの独特な音楽、好き。
部下の菊池、
主人公の跡を継ぐみたいな
定番のオチとは真逆で
敵の手先になるの面白かった。
作中でちゃんと育てられてないから
敵の方に取り込まれるのは
皮肉なのにすごく納得がいくオチ。
壁に倒れ込んで動けない敵、
銃弾を何発食らい続けても
敵への歩みを一切止めない吾妻っていう
フィクションでしかない描写なのに
肩越しの構図とか
光と影の白黒コントラストによる
画作りのカッコよさで
文句のつけようがないクオリティになってる
ラストの撃ち合いがスゴかった。
お互いに万全とは言えない
手負いの状態での決着も好き。
1時間40分という
比較的短めな尺も嬉しい。
🟥【気になったところ】
警察が金属バットで殴られる展開が
始まる少し前のところ、
吾妻が乗ってる警察車両のまえを
自転車が飛び出してくるシーンって
吾妻が部下に対して
おちゃらけたコメディをやった分
その緩急として緊張で補ってたのかな?
展開として必要性がないにしては
印象的だったシーン。
白竜さん、
怖い顔のイメージあったけど
ずっと見てると小学生の顔が
大人の体にくっついてるように
見えてくる。よく見ると顔が幼かった。
ありがとうございました。