スカポンタンバイク

ロレンツォのオイル/命の詩のスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

5.0
本当に素晴らしかった。
ジョージ・ミラー監督というと、大多数がそうであるように、私自身もマッドマックスしか観てこなかった。
しかし、先日公開されていた「アラビアンナイト/三千年の願い」で印象が劇的に変わり、他のジョージ・ミラー監督作に興味を持つ事になったのだが、そこからの一作目である今作。下手すると、ジョージ・ミラー監督史上でも1番に挙げていいくらい好きで、素晴らしかった。
何が素晴らしいのかといえば、「学ぶ」という行為に常に希望を持っているという事だ。この作品の主要人物である夫婦とALDの息子は最後まで、病気と闘う方法を「学び」を通じて探していく。難病を扱ってはいるが、所謂難病ものではない。この映画における難病とは人と人とを隔てる壁の象徴であり、その壁を越えてお互いの意思を伝える事が最大の目標であり、難病の息子への誓いになっている。
つまりは、病気への学び、病気である息子の意思をキャッチする行為の積み重ねが、いつかその壁を越えて、意思疎通を実現するという話なのだ。病気を扱ってはいるが、非常に普遍的な「人と人が理解し合う」という事についての映画であり、それを実現する方法は「学び」の中にあるというのが、私は凄く感動させられた。とても真摯な映画だった。