イーストウッド監督、マット・デイモン主演。日本では3.11の直前に封切られたが、冒頭の津波シーンゆえにすぐ公開自粛された曰くつきの作品。死者の声を聴く霊能者だがその能力を嫌悪し、それを用いず生きようとするNYの男。有名ニュースキャスターだが津波で臨死体験し、死者の世界との繋がりを持ってしまい本来のテーマに手がつかなくなるパリの女。事故で死んだ双子の兄と対話するため本物の霊能力者を探し回るロンドンの少年。この三者の物語が交錯する群像劇。さほどガッツリ絡み合うような構成の妙は存在せず、また別に霊的なテーマにも深味はなくボヤッと描写されている、掴みどころなくフワッとした雰囲気映画なんだけど、霊能云々はおそらく重要じゃなくて、たとえ異端の才能でもそれで救われる人間も必ずいるし、他人との繋がりを諦めるなというエールなんだろう。さりとてメッセージ性の強い押し付けはなくて三者三様に悩める登場人物の運命の後味は良い。
