記憶に刻まれた映画・10
『ツィゴイネルワイゼン』(1980)
鈴木清順監督
渋谷パルコの隣の空き地に突如出現した銀色のテント小屋[シネマ・プラセット]。まるでアングラ劇場のような上映方法だった。
銀色のテント小屋に入ったら最後、そこは迷宮世界の入り口で、もはや出口はなく出て来れない、出て来られたとしても、もはや以前の自分ではなくなっている。そんな映画体験🎞だった!
鈴木清順監督の大正浪漫3部作の第一弾が『ツゴイネルワイゼン』。その後に洗練度が増していく『陽炎座』『夢二』と続いた。清純美学が極まった3部作である。
まだ私が10代後半の時のディープな映画体験は衝撃的で、あの世とこの世が地続きになり、未だに迷宮世界を彷徨っている感覚が残っている。