SEIBO

東京物語のSEIBOのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
5.0
記憶に刻まれた映画・12
『東京物語』1953年 監督:小津安二郎

家族の在り方をローポジションの固定カメラで美意識高く淡々と俯瞰して捉える美しくも残酷な映画でした。初めて観た時は2人の会話が正面向かって交互に語りかける切り返し映像に戸惑い、こんなカメラワークで会話劇を捉える独特の演出は今観ても新鮮。最近4Kリマスターでも再鑑賞もしました。

思えばピッタリ60歳で他界された小津安二郎監督に対して、黒澤明監督は長生きして88歳で他界された。
小津安二郎監督が現役の時、ワンパターンの様に変わらないスタイルに老境のスタンスだと若いスタッフは思っていたようで、海外のフランソワ・トリフォー監督にいたっては退屈なフィルムだと評価していたという。
そこに再評価のキッカケを作ったのは『ベルリン・天使の詩』や『パリ、テキサス』のドイツ人映画監督ヴィム・ベンダース監督でした。『東京画』という「東京物語』の主人公・平山役を演じた笠智衆さんを追ったドキュメンタリー映画も作ってましたね。

その流れなのか、昨年『Perfect Days』という映画を小津安二郎監督生誕120年の年に撮ったのは象徴的でした。主人公の名は平山。『東京物語』と『秋刀魚の味』の主人公の名も平山。東京のトイレの掃除人の日常のルーティンを淡々と追った映画なのですが東京物語の小津安二郎へのオマージュが随所に感じられる傑作でした。なんと言っても主人公の平山を役所広司さんが演じていて、これがなんとも見事で、カンヌ映画祭で主演男優賞に輝きましたね!米アカデミー賞にもノミネートされ期待されてます。とても楽しみですね!

#PerfectDays #ヴィムベンダース
#東京画 #小津安二郎 #秋刀魚の味
#東京物語
SEIBO

SEIBO