鈴木清順による大正浪漫3部作の第一作。
この得も言われぬ幻想的な空気感、作品の完成度の高さを伺わせる質の高さに圧倒される。
まず映像がすごく洗練されていて、構図一つ一つにまで拘りを感じる。
鏡、陰影、人と人との重なり、すべてが秀逸。
そして難解極まりない物語。
あらゆる部分に、様々な解釈の余地があると思う。
一見するとただホラーチックなだけだが、物語を皆まで語らないその曖昧模糊で霧の様な幻想さが、美しくも妖しいこの難解映画を生み出した。
はじめはどこか不思議な空気感を持っていただけなのに、どんどん非現実的な要素まで孕み始める。
そして最後には…。
先にも述べた映像と物語とが合わさり、この唯一無二の『ツィゴイネルワイゼン』を完成させた。
本当に惹き込まれる。