April01

アキラ AKIRAのApril01のレビュー・感想・評価

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)
4.6
金田のバイクがカッコイイ!
スゴイ作品。1988年の時点でコレって本当に凄い!以前見た時は正直よくわからなくてこの機に再挑戦。漫画を読んでいればもっと理解できるのだろうなーと思う。
とにかく4Kによって色彩と輝度が格段にアップしているし、バイク音、建物の破壊音、ヘリや戦車の動作音などの効果音が身体全体に響きシアター体験の素晴らしさを実感!

色々な解釈は胸にとどめるとして・・

この作品のメインテーマではないかもしれないけれど、サブストーリー的に設定したと思われる登場人物の背景と関係性がかなり胸に迫り、ラスト近くのクライマックスで数少ない映像と言葉で語られる事実に想像力が働き哀しく気持ちが揺れる。

AKIRAとはアキラ28番。キヨコ、タカシ、マサルら仲間同様に番号を振られたナンバーズの一員。
金田が見る子供の頃の鉄雄の記憶が切ない。
同じくかつてナンバーズとして仲間と暮らした子供の頃のアキラの記憶も切ない。
金田は鉄雄とアキラの記憶を両方見たのだろうか。
記憶の中の子供達は金田も含め孤児であり養護施設で育った親なき孤独な存在というセンチメンタルな描写に、冷たいSF的近未来作品でありながら昭和の空気が流れているような不思議な独特の感じがある。
でもよく考えたら昭和の作品。それが2020年に見ても全く色褪せないのは、やはり原作に普遍的な力があるのだろう。

それと人の心にある裏表の怖さも描いているのが印象的。
特に金田と鉄雄の関係において、超能力覚醒により鉄雄の裏の気持ちが前面に出てくるところが人間の本性を描いているようでリアル。
金田に対して優越感に浸りながらも、いざ窮地に陥って恐怖に駆られた鉄雄が、思わず助けを求めたのは金田。一方金田は同じ仲間をやられたこともあり始末しようとしていたにも関わらず金田を助けようとする。
この気持ちの行ったり来たりに見ごたえがあり、メインではないサブテーマかもしれないけれど、少年たちの青春物語としてみても十分成り立つ感動がある。
April01

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