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エターナル・サンシャインのHOHOのレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
3.7
消したい記憶というものは、色んな種類がありますが、今まで美しく大切な思い出だったものが、一瞬で裏切られて汚されてしまった場合、辛さ・痛々しさで目を背けたくなるものなんだろうと思います。主人公とその恋人は、互いにすれ違い、裏切りに苦しみ、「汚された」記憶を消そうとするのです。
全体としてドキュメンタリー風な、更に言えば記録映像のような、無機質な感じが漂い、それが主人公の記憶の中の話でも変わらないため、どれが現実でどれが架空の話なのか混乱させてきます。それを観て私は、かつて夢と現実の差異がどこにあるか考えたことを思い出しました。夢でも現実でも、それが自分の直面している状況だと考えている限り、「夢」から覚めることはないのだと気づき、現実というものの希薄さにぞっとしました。言ってしまえば、所詮現実なんてそんなもんです。現実を「覚めることができる夢」だと思って消したり逃げたりしても、代わりに夢のなかで追われるのです。この映画の結末を観て、現実はそう簡単に我々を離してくれないのだと、じんわり思いました。
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