アーリー

酔いどれ天使のアーリーのレビュー・感想・評価

酔いどれ天使(1948年製作の映画)
4.5
2023.10.24

三船敏郎登場。のんべぇの医者とチンピラヤクザの交流を通して、闇の人間の業や、懸命に生きる姿を描く。

めちゃくちゃ面白かった。言葉は悪いけど芯を食ったこと言うし、全ては優しさからでてることがわかる先生。なかなかいい人。こんな人と近所に住みたい。松永も意地を張ったクソ野郎やけど、それなりに素直で仁義に厚い。ただ少し不器用なところがある男。この二人の会話や交流がなかなか面白い。観てて気持ちいいとも言える。お互いディスりながらもちゃんと芯を持って対応するとことか。昔の日本人の会話。ヤクザとかいつからいたんやろう。

夜の街とか華やかな場所と、先生のいる闇市の貧しい場所の対比が良い。この時点で黒澤史上一番華やかなシーンと思われる社交ダンス的な場所。ヤクザ・マフィア映画に欠かせない舞台。捕まっていたもと兄貴分の岡田と、そちらに靡く松永の彼女との三角関係も見どころ。今作のその彼女がクソすぎて逆に好き。これぐらいはっきりしてくれた方が憎める。そして松永のラスト。「スカーフェイス」の約40年前にこんなシーンが撮られていたとは。どうやって撮ったんやろ。ベランダ?の柵?みたいなやつが壊れるのは演出なんかな。一騎打ちのシーンも緊張感あって良かった。

三船敏郎イケメンすぎる。しかもその顔に負けない演技力。明らかにこれまで黒澤作品に出てきた俳優たちと一味違う。酔い潰れるシーンとかほんまに酔ってるとしか思えないし、どんどんこけていく顔も良かった。意地張ってる若いチンピラ感もめっちゃあったし。あとは先生役の志村喬。信念を持った医者。ごちゃごちゃ口うるさいけど、めっちゃ良い人。セリフの喋り方とかいいんよな。若い女の子の時だけ顔がにやけ気味なのもナイス演技。

面白かった。会話が面白い作品っていいな。
この時代の男臭さとかも香ってきて良かった。
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