八珠主火

ゆれるの八珠主火のレビュー・感想・評価

ゆれる(2006年製作の映画)
3.4
人間というものは常に揺れ動く生き物である。同時に様々な感情を抱き、それをぶつけたり隠したり、それで伝わったり伝わらなかったり、時には大きな誤解を受けたりもする。
愛としがらみも根っこは同じもので、特に家族なんてものは愛情の権化だから、そこにまた幾つもの憎しみも巣食う。
そんな人間の不安定さ、寄る辺なさ、がこの映画のテーマに思える。
観るものにラストは委ねられるが、そこも観るものによって千差万別。それぞれが思い思いの物語を描くことになる。
個人的には、人間同士(血の繋がったもの)の悲しいまでの確執、断絶を描いた作品だと感じたが、なにぶん香川照之の演技が素晴し過ぎて、そこは観終わった後も確信が持てずに揺れ動いている。まさに「ゆれる」である(笑)西川美和監督の目論見通りに人間の心の上で揺れ動かされている自分に笑う。
八珠主火

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