このレビューはネタバレを含みます
アキ・カウリスマキの映画の登場人物は大抵みんな厳しい状況にあり、本作の主人公(イリス)の境遇は決して特別ではない。セリフも極めて少なく、例に漏れずドライなタッチ。にも関わらず、いくつかの部分で自分自身の性格や境遇と重ねて特別に感情移入してしまった。若い女性だからこそ余計哀れに思えたのかもしれない。
予想以上にダークなラストに鳥肌。ボトルに殺鼠剤を注ぐイリスの瞳が輝いて見えるのがあまりに悲しくおそろしい。ただ、状況次第では自分も(というより全ての人間が)同じことをしかねないだろうと思う。そういう意味では、リアルなラストシーン。