エンポリオ

モーターサイクル・ダイアリーズのエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

若き日のチェ・ゲバラに革命への糸口を与えた放浪の物語。
あらすじに目を通し予測していたストーリーとは大きく異なる展開だった。鑑賞した映画が期待していた内容とは違っていると残念な気持ちになることが往々にしてあるが、今回はとてもプラスな意味合いでの予想外なストーリーだった。映画を観始めるまでこの作品がチェ・ゲバラと関わりの深い物語であることを知らずにいたためにそのように感じた部分も少なからずあったのではないかと思う。
この類の冒険譚では何か目に見えない大切なモノを見つけに、とか前提としての目的があって旅が始まることが多いように感じるのだが、この映画では若き医学生エルネストが旅をするために旅に出かけていく。明確な目的や話の筋がが掲げられないまま物語が進んでいくため画面の中の何をどのように観たら良いのか分からないシーンが長く続くように感じるが、それは得るモノの当てのない旅に出ているエルネストの心情を感じ取るために用いられた抽象的な手法なのではないかと考えた。
エルネストとアルベルトが出会った人々がモノクロで映し出されるシーンが何度か観られたが、旅の途中からエルネストが少しずつ大切な思いを抱き始めたと伝えるための映像表現なのではないだろうかと思った。
ドキュメンタリーのタッチで描いても作れそうな映像を登場人物の心情を織り交ぜることによって観る人に伝え得る事柄を増やすような映画の作り方には驚かされた。
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